【学振DC申請書】研究内容を一目で伝えるための模式図の作り方

スポンサーリンク
学振DC

学振DCへの採用を勝ち取るためには、自分のこれまでの研究、及び今後計画している研究の内容を的確に審査員に伝える必要があります。

しかし、審査員は非常に忙しい大学の教授たちです

ただでさえ忙しいのに、その上数多くの申請書を審査しなければならないため、本文の文章までじっくり読んでくれることはほぼあり得ません。

このため、研究内容を一目で伝えられる模式図の作成が非常に重要なのです。

本記事では、学振DC1では不採用を経験したものの、DC2では面接免除で採用された私Jan(ジャン)が、学振DCの申請書に載せる模式図を作る際のポイントを解説します。

スポンサーリンク

申請書の内容が伝わる研究の模式図とは

そもそも研究の模式図とは、「相手が自分の研究内容のあらましを理解できるよう作成した、分かりやすい図」のことを言います。

教授などの科学者が、政策決定者である文科省の役人へ研究内容を伝えるために作った概略図は、少々馬鹿にした感じで「ポンチ絵」と呼ばれたりします。

しかし、学振の申請書では、このポンチ絵(模式図)をうまく作れるかどうかが、非常に重要なポイントとなります。

なぜなら、大抵の大学教授はいきなり本文は読まず、まず図だけを見て研究計画の大筋を把握するからです。

審査員が即座に理解できる申請書を作るためには、模式図から一目で研究の全体像と大まかな流れをつかめるようになっている必要があります。

このためには、模式図が「申請書の本文で書いてあることのエッセンスがそのまま図に変換されたもの」になっている必要があります。

以下では、模式図を作る際に意識すべき具体的なポイントをまとめます。

研究計画・内容が書いてある部分に模式図を入れる

模式図は、研究計画・内容を模式化した図なので、申請書では2. 現在までの研究状況の欄の前半、及び3. これからの研究計画」の「(2)研究目的・内容の欄に模式図を入れることになります。

「2. 現在までの研究状況」の欄の後半には、これまでの研究の「結果」を書きますし、「3. これからの研究計画」の「(1)研究の背景」は文字通り研究の「背景」を書く部分なので、模式図は入りません。

ぼかし付きで申し訳ないのですが、私の申請書でどの位置に模式図を入れたのかを以下で示します。

申請書には模式図のほかに、グラフなどの「研究結果の図」を載せることになりますが、これの作り方については別の記事でご紹介します。

私の場合、模式図は「2. 現在までの研究状況」の欄に1つ、 「3. これからの研究計画」の「(2)研究目的・内容」の欄に 3つの模式図を入れましたが、この数は申請書の内容によって変わってきます

この点については、申請書の図の作り方全体に共通するポイントをまとめた以下の記事で書いたので、参考にしてください。

ジャン
ジャン

模式図を入れる位置は決まりましたか? 以下では、それぞれの模式図を作る際に気を付けるべきポイントを解説していきます!

審査員の視線の流れを意識する

要するに「人は、図を左上から矢印に沿って見ていく」ということを意識すべきということです。

申請書に書く文章には、「Aという背景のもとBを行ったところCという結果が得られた」というように、必ず「流れ」があります

流れのある文章をそのまま図にするわけですから、もちろん図にも流れがあるはずです。

なので、審査員の自然な視線の流れが図の流れと一致するよう、流れの始点となる部分は図の左側(できれば左上)に配置し、そこからの流れは矢印で示しましょう

なお、人の自然な視線の流れに沿うよう、矢印はできれば右あるいは下向きになるようにした方が良いでしょう。

具体例がないとわかりづらいと思うので、公開されている学振申請書を見てみることをお勧めします(リンク先はなぜかページ冒頭に非常に大きいサイズの黒い写真が貼られていますが、下にスクロールすると申請書へのリンクがあります)。

どの申請書の模式図でも矢印が多用され、基本的に左(上)から右(下)への流れがあることが分かると思います。

ジャン
ジャン

申請書本文の流れが、視覚的にもそのまま反映された図になるよう心がけましょう!

文字が多くてもOK

学会発表の経験がある方は、スライドで研究背景の概念図や、研究方針をまとめた模式図を作ったことがあるんじゃないでしょうか?

しかし、学会スライドの模式図と、申請書のそれは性質が全く異なります。

学会では口頭で説明できるのに対し、申請書では審査員が図からすべてを読み取れるようにしなければなりません

なので、学会スライドなどとは違い、模式図には文字をたくさん入れても大丈夫です

むしろ、図だけで研究の概要が理解できるようにしないといけないのですから、図に含まれる文字の割合は学会スライドよりも高くなるのが自然です。

もちろん、なくても理解できる文字は削った方がいいので、例えば「~を緩和する」ではなく「~の緩和」のように、体言止めで書くことがほとんどになるでしょう。

この点についても、公開されている申請書を参考にしてみるとよいと思います。

誤解されないよう気を付ける

審査員が、自分の意図と違った形で図を誤解してしまうと、かなり致命的です

一つの図の理解が間違っていると、その次の図への流れがつながらなくなり、たちまち審査員は混乱してしまうためです。

このため、自分の作った図に誤解の余地がないか、様々な視点から徹底的に検討しましょう

これは前項目の「図中に文字が多くてもOK」という話とつながるのですが、誤解を生みそうな部分には文字を入れて説明しましょう

私も、学会などでは微生物の細胞を楕円形で描き、スライド中には特に何の説明もつけず 口頭で説明していたのですが、申請書の図では楕円形の上に必ず微生物の名前を書くようにしました。

ジャン
ジャン

誤解の可能性を取り除いていくことで、図の分かりやすさも向上していきます!

今回のまとめ

今回の記事では、学振DC申請書に載せる研究内容の模式図を作る際のポイントをご紹介しました。

まとめると、ポイントは以下の通りです。

  • 申請書の研究計画・内容が書いてある部分に、対応する模式図を入れる
  • 審査員の視線の流れが、図の流れと一致するように図を作る
  • 図のみ(口頭説明なし)で理解できるよう、図に文字を多く入れてもよい
  • 誤解の可能性を徹底的に排除する

これらは模式図を作る際のポイントですが、申請書の図全体を作る際に当てはまるポイントは以下の記事にまとめてあります。

ここでは詳しく書きませんが、簡単にまとめると以下の通りです。

  • 最重要:本文を読まなくても申請書の内容が理解できる図を作る
  • 申請書本文の項目と図を対応させる。
  • 図中の文字は基本的に日本語で書く(逆に分かりづらくなる場合は別)
  • 図中の文字のフォントはゴシック体とし、本文の文字と同じ大きさにする。
  • 図はモノクロで作成する。

また、グラフなどの「研究結果の図」の作り方については、別の記事でご紹介します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました